運送会社経営について

トラックドライバーと労働時間と休日のルールを確認

※注意 労働時間と休日のルールについて書いていきますが、基本となる通常の労働基準法で定められた労働時間と休日を前提条件に進めていきます。

そのためトラックドライバーにおける改善基準告示の労働時間と休日についての理解を深めるには、最後まで読んで頂くことを推奨します。

労働基準法におけるトラックドライバーの労働時間と休日

労働基準法 第三十二条 (労働時間)

1.使用者は、労働者に、休憩時間を除き1週間について40時間を超えて、労働させてはならない。

2.使用者は、1週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き1日について8時間を超えて、労働させてはならない。

まず、労働基準法第三十二条によって、労働時間の原則が定められています。一般の労働者もトラックドライバーも例外なく定められているものです。

一般の労働者
(9:00に出社→18:00に退社)9時間 - (休憩時間1時間)
ならば、労働時間は8時間ということになります。

トラックドライバーの場合
(出発後4時間運転) → (PAで2時間休憩)→(4時間運転して終了)
ならば、労働時間は8時間ということになります。

但し、トラックドライバーは、労働時間とは別に拘束時間の概念がありますので、この場合は労働時間8時間と拘束時間10時間が発生することになります。

さらに補足していくと、トラックドライバーの労働時間は通常
(運転時間)+(荷待ち時間)+(荷扱い時間)+(その他付帯作業)
と考えることができます。

ところが、このに荷待ち時間について、日報やタコグラフなどで正確に把握できないことから、休憩や休息としてカウントするという、業界的なブラックな側面を持ち合わせていました。当然ながら働くドライバーは、荷待ち時間も仕事の延長線として位置付けするべきです。

そこで平成29年11月標準貨物自動車運送約款が一部改正され、荷待ち時間に対して待機時間料を新たに規定しました。こういった取り組みは、今後業界的なブラックな部分をクリーンにしていくことにも繋がっていくでしょう。
次に休日について見ていきます。

労働基準法 第三十五条 (休日)

1.使用者は、労働者に対して、毎週少なくとも1回の休日を与えなければならない。

2.前項の規定は、4週間を通じ4日以上の休日を与える使用者については適用しない。

上記が休日の概念になります。
そして、この法律で定められた最低限の休日を法定休日といいます。
しかしながらトラックドライバーは、その働き方の特殊性により、1週間に1回決まった曜日が休みじゃない場合が多いです。

特に毎日決まった貨物を輸送していな運送会社はこの傾向が強いです。
そのため非定例日に休日を取ることが多くなるため、労働基準法第三十五条の2項(4週間を通じ4日以上の休日を与える)を休日とする所が多いです。

さらに労働基準法においての休日は、4週間を通じ4日以上休日を与えればいいということになるので、4週間(28日)の内、最初24日間連続して働かせて、最後の4日だけを休みにするといったことも可能です。

 

※注意 改善基準告示だと違反(労働基準法だとOK)

特定の4週間(最初4日間休日 ⇒ 24日連続勤務)
特定の4週間(24日連続勤務 ⇒ 最後の4日間休日)

このように、労働基準法32条及び35条における、労働時間と休日について簡単に説明しました。ただしここで疑問が生じます。労働者全てがこの労働時間と休日の規定を守った場合、世の中には休日出勤や、残業などが一切発生しないことになります。

そのため、この規定における、労働時間と休日を延長できる協定が存在します。それが俗に言う、36協定になります。

つまり36協定を設けていない会社は、残業も休日労働も一切ない会社ということになります。そういったこともあり、ほぼすべての運送会社は、この協定を結ぶことになります。

労働基準法 第三十六条

使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、厚生労働省令で定めるところによりこれを行政官庁に届け出た場合においては、第三十二条から第三十二条の五まで若しくは第四十条の労働時間(以下この条において「労働時間」という。)又は前条の休日(以下この条において「休日」という。)に関する規定にかかわらず、その協定で定めるところによって労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる。

上記を簡単にまとめると、労働基準法第三十六条の協定(36協定)を、労働組合または労働者の代表と結ぶことで、労働時間の延長と、休日に労働させることができるようになります。

この場合、法定休日においても36協定で定める延長の範囲内であれば、法定休日割増賃金を支払うことで労基法に問題が生じないことになります。

こういったこともあり、多数の人命に関わる車の運転するトラックドライバーがこのような働き方するべきではない。疲労による事故等のリスクを考えた場合、適切な休憩や休息が必要であるという考え方に至りました。そのため改善基準告示が盛り込まれたと考えることができます。

それでは改善基準告示を説明する前に、一般的な労働基準法三十六条の協定を結んだ場合の、労働時間を確認していきます。

 

36協定を結んだ場合の、労働時間の延長とその上限について

2020年4月より(働き方改革で改正)、自動車運転取り扱い業務以外のすべての業種に適用(※条文は長いので省略します。)

36協定の更新時期(有効期間)1年単位
延長できる労働時間は、1ヵ月45時間、1年360時間
1年間の変形労働時間の場合、1ヵ月42時間、1年間320時間

尚、特別条項を結んだ場合、さらに延長することも可能です。
休日労働を含め、複数月の平均が80時間以内かつ単月100時間未満の範囲であれば、1ヶ月45時を超えて残業することが可能です。ただし、超えていいのは年間6回までが限度であり、1年間の延長時間は720時間までとされています。

ただし・・・あくまで一般の話。

運転手の労働時間は、青天井?

自動車運転取り扱い業務であるトラックドライバーは例外です。
労働基準法140条に規定されています。以下条文

労働基準法 第百四十条(長いので下にまとめます。飛ばしてください)

一般乗用旅客自動車運送事業(道路運送法(昭和26年法律第183号)第3条第1号ハに規定する一般乗用旅客自動車運送事業をいう。)の業務、貨物自動車運送事業(貨物自動車運送事業法(平成元年法律第83号)第2条第1項に規定する貨物自動車運送事業をいう。)の業務その他の自動車の運転の業務として厚生労働省令で定める業務に関する第三十六条の規定の適用については、当分の間、同条第5項中「時間(第2項第4号に関して協定した時間を含め100時間未満の範囲内に限る。)並びに1年について労働時間を延長して労働させることができる時間(同号に関して協定した時間を含め720時間を超えない範囲内に限る。)を定めることができる。この場合において、第1項の協定に、併せて第2項第2号の対象期間において労働時間を延長して労働させる時間が1箇月について45時間(第32条の4第1項第2号の対象期間として3箇月を超える期間を定めて同条の規定により労働させる場合にあっては、1箇月について42時間)を超えることができる月数(1年について6箇月以内に限る。)を定めなければならない」とあるのは、「時間並びに1年について労働時間を延長して労働させることができる時間(第2項第4号に関して協定した時間を含め960時間を超えない範囲内に限る。)を定めることができる」とし、同条第6項(第2号及び第3号に係る部分に限る。)の規定は適用しない

簡単に言うと、36協定の労働時間の延長に対して、トラックドライバーは上限の規定が違うということです。つまり一般の労働者の規定を適用しません。下記にまとめていきます。

トラックドライバーの36協定

1ヵ月の時間外労働の制限は存在しない。
当然、1年間で1ヵ月45時間を超えられる回数も存在しない。
1年間の時間外労働の制限はなし。(2024年4月から960時間を上限とする)

このような条件になっています。一言いえば、会社にやさしく、労働者に厳しい法律と言えるでしょう。これが、トラックドライバーの労働基準法となります。

ここまで読まれた方は、理解できると思いますが、これでは健全な労働環境を維持することはできないはずです。また労働基準監督署が監査に入っても、労働基準法だけでは適切な労働環境に導くことはできないでしょう。

そこで、運送会社に対して改善基準告示が必要になるという理屈です。逆説的に言えば、会社側としては、36協定を結んで改善基準告示にだけ従っておけば、労働にまつわる違反は限りなく起こりにくいことになります。

それではいよいよ改善基準告示を見ていきます。

改善基準告示によるトラックドライバーの労働時間と休日のルール

改善基準告示による労働時間と休日を考えていきます。今までの説明にあるように、トラックドライバーは労働時間に対して36協定を結んでいる場合、割増賃金を払うことで、労働基準法の違反を回避することが可能でした。そして業界の特殊性から、全労働者と同じ適用が難しい状況でした。しかしながら、業界的な労働時間抑制のために、改善基準告示が適用されるようになります。

トラックドライバーの労働時間

改善基準告示における労働時間の解釈は、拘束時間という形で定義されています。
そしてこの拘束時間を説明するためには、休息時間という概念を知る必要があります。
※休息時間を定義しているのは、改善基準告示だけです。

簡単な休息時間の考え方

ドライバーが4時間以上自由に使える時間
通常、長距離運転手をしている場合、PAで4時間以上休憩を取ると休息とみなすことができます。万が一3時間で移動を開始した場合、3時間の休憩扱いになります。

そして、出発してから24時間の内、休息時間を引いたものが拘束時間になります。

9:00 10:00 移動 累計1時間
10:00 11:00 荷積 累計2時間
11:00 14:00 移動 累計5時間
14:00 15:00 休憩 累計6時間
15:00 18:00 移動 累計9時間
18:00 4:00 休息 累計19時間
4:00 7:00 移動 累計22時間
7:00 9:00 荷卸終了 累計24時間

上記の例で言えば、19:00~4:00までの9時間が休息期間になりますので、この運行の拘束時間は15時間ということになります。
補足、この時労働時間は、途中14:00~15:00までの休憩が1時間ありますので、労働時間は14時間になります。
このように、トラックドライバーの働く時間に関しては、通常の業種とは違う形態をとります。簡単にまとめると下のようになります。

 

ドライバーの給与計算に使う【労働時間】

 

ドライバーの残業や、休日出勤等で割増賃金を払ったりするのに必要な時間。
一般的に、所定の労働時間が決められており、間の休憩時間は含まない。またトラックドライバーは労働基準法(自動車の取り扱い業務の特例)に対する縛りが弱く、36協定を結べばある程度、労働時間の延長が可能なため、長時間労働を生んでいる。

ドライバーの働く時間に使う【拘束時間】


ドライバーの働く時間を実質的に定めたもの、休息(4時間以上の休み)以外の全ての時間は拘束時間になる。(詳細は別記事に記載します)

1日単位  最大16時間
1ヵ月単位 最大293時間(労使協定を結べば320時間、1年で6回まで)
1年単位  最大3516時間

つまり、働く時間を拘束時間によって管理し、拘束時間を厳守させることが、労働時間の厳守に繋がるという側面を持ちます。

このため、トラックドライバー及び運送会社の経営者はこの拘束時間を守ることが、不可欠になります。

トラックドライバーの休日

上述しているように労働基準法35条で法定休日とういう概念がありますが、36協定を結んだ時の労働時間延長幅が大きいので、延長の範囲内であれば休日出勤でも大丈夫、つまりお金さえ払えば何とかなるという側面を持ちます。

そのため、改善基準告示により休日の概念が盛り込まれています。

改善基準告示(休日労働)

2週間に1回以内、かつ1箇月の拘束時間及び最大拘束時間の範囲内。

これは逆説的に、2週間に1回は必ず休日が必要という解釈になります。

4週間(28日間)の内、最初24日間連続して働いて、最後4日間休むような形で、法定休日を守るといったことや

②36協定を結び、法定休日割増賃金を払うことで1ヵ月間休み無しで働かせるようなことも不可能となりました。

改善基準告示(休日の取扱)

休日は休息期間に24時間を加算した期間(8時間+24時間)=32時間

通常、労働基準法では、休日は深夜0時~24時間全く仕事してない場合を指しますが、トラックドライバーは、休息時間8時間に24時間に加算したものが休日となります。

補足

このようにトラックドライバーの休日は定められていますが、例外があります。それは長距離運転手の場合、どこにいても休日になるということです。つまり遠方にいても、32時間以上休んでいる場合、休日扱いにすることが可能です。どこで休日を取るかについての明確な法律は存在しません。ただし、遠方で32時間休日を取る場合、1運行の時間が144時間(改善基準告示 運行時間)を超える可能性があるため推奨はしません。

このように、ブラックな側面を持つトラック業界の働き方に、改善基準告示で休日についても規制をかけています。

確かに改善基準告示は、運送業界を苦しめている可能性も否めませんが、これは労働者側にとっても良い規制だと私は解釈しております。ここまでが、トラックドライバーの労働時間と休日のルールになります。

簡単なまとめ(トラックドライバーの労働時間と休日)

労働基準法32条、35条によって、労働時間と休日が定められている。

労働時間は休憩時間を除き1日8時間、1週間で40時間まで
休日は毎週1日か4週間に4日以上取ること

しかし、労働基準法36条によって、労働時間の延長と休日出勤可能である。

そして、トラックドライバーは他の業種に比べて上限の幅が大きい
1ヵ月の時間外労働の制限は存在しない。
1年間の時間外労働の制限は960時間を上限とする。(2024年4月から)

つまり36協定を結んでしまえば、労働基準法の範囲内で、ある程度自由に働かせることも、働くことも可能である。よってこれを抑えるために改善基準告示で規制する。そして改善基準告示を行政処分(国土交通省の介入)の対象にすることで強制力をもたせた。だから運送会社は、労使協定を結び改善基準告示の遵守に全力を注ぐことで、法律的なホワイトな会社を目指すことになる。結果として、トラックドライバーの労働時間と休日のルールは、改善基準告示の内容と言うことになる。

結論

トラックドライバーの労働時間と休日は、労働基準法ではなく改善基準告示の内容に準ずる。

しかし、こういった法律の流れを完全に無視したものが登場する。有給休暇義務化である。最後にこれを見ていこう。

運送会社の有給休暇の義務化の解釈

働き方改革法により2019年4月より5日間の有給義務化

働き方改革法により、会社は10日以上有給休暇が付与された労働者に対し、5日分の有給休暇を取得させる義務を会社が負うことになりました。トラックドライバーも例外ではなく、有給休暇取得が義務です。今まで有給取得とることに遠慮しがちだった人も、今後は会社が強制的に取らせないと、罰則(30万円以下の罰金)の対象になるということです。従って、有給休暇取得を、会社全体浸透させることが必要でしょう。まず、この有給取得の条件を確認していきます。

労働基準法 第三十九条

使用者は、その雇入れの日から起算して6箇月間継続勤務し全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した10労働日の有給休暇を与えなければならない。

このように、入社から6ヵ月間きちんと働いたら、10日以上の有給休暇が付与されます。当然トラックドライバーについても有給を付与する義務が発生します。
問題は、有給が発生することは何となくわかりますが、この与え方と計算方法が重要です。
有給の付与日数とかは調べればわかるので、以下、重要な与え方と計算方法を中心に書いていきます。

トラックドライバー有給の考え方

定期的な運行をしている運送会社に関しては簡単だと思いますが、歩合給や変形労働時間制を採用している会社は、なかなか複雑ですので、1つずつ考えていこうと思います。

有給休暇の取得できる権利(労働者)と変更権(会社)について

まず、前提条件として労働者には、有給を自由に取得できる権利が存在します。しかし会社によって、就業規則に有給取得請求は3日前に申請してください。と規定しているところも存在します。

そして、いくら自由に取得できるといっても、物流業界の繁忙期にいきなり労働者が有給を取得する場合、円滑な業務の妨げになる可能性があります。もしかしたら他の運転手に負担が掛かってしまうこともあります。

そこで会社は有給休暇時季変更権を持ちます。

労働基準法 第三十九条 5項

使用者は、前各項の規定による有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない。ただし、請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる。

このように、会社側も業務が忙しい場合は、例外として有給を変更できます。ただ基本的には労働者の有給休暇請求に答えることが必要です。

いつが有給休暇に該当するか?

通常会社の就業規則できちんと1箇月の所定労働日数を決めている場合だと、その所定の労働日数以上に休んだ分に有給を付与すればいいです。
わかりやすく言うと、1ヶ月の日数が31日で、所定労働日数が25日であれば、6日間は通常の休日として扱い、7日目から有給として処理します。

通常の有給計算

月間日数31日 - 所定労働日数25日 =通常の休日6日 これ以降有給

ところが実際に有給を付与しようとした時に、トラックドライバーは特殊な有給条件が存在します。
それは運送会社が、通常の労働基準法と改善基準告示の2つの観点から見ていく必要があるからです。そのため、下記のようなケースが存在します。

運送会社の特別な有給条件

長距離運転手の場合、休日が特に決まっていない(非定例日)。
32時間の休息をとれば休日となる。つまり、運行の途中でも休息を取れば休日。

上記のようなケースだと、どこからが有給の範囲なのか非常にわかりにくいです。
そこで、この場合は次のように考えるとよいです。

ポイント

労働基準法第35条、4週間について4日以上の休日を与えるに従う。

つまり法定休日に従うが正解です。単純に計算してみましょう。

31日 ÷ 7日(1週間) = 4.42日(5日) ※6日目から有給を使う。
29日 ÷ 7日(1週間) = 4.14日(5日) ※6日目から有給を使う

このように、1ヵ月単位で休日の端数がでるため、きちんと守るにはドライバーが6日以上休んだ場合に、有給を付与するのが間違いないです。但し、7月に有給を使い、8月は有給を使わないと考えるならば、5日目から有給を使うことも可能です。

そして、トラックドライバーは32時間以上休息を取れば休日になります。よって
10日3:00帰社 →(33時間後)→ 11日12:00出社
このような場合においても、10日を休日として処理できますので、有給を使うことが可能です。
※計算方法については、会社でやり方が違うと思いますのでここでは触れません。

以上がトラックドライバーの有給の考え方になります。

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