運送会社経営について

自動運転でドライバーが失業するタイミング

2020年現在、トラックドライバーの就業人口は、貨物需要に対して一方的に減少している。ある統計によると今から10年経過する前に、25万人程不足する計算である。

これについては、ほとんどの運転手及び経営者が薄々感じているだろう。その結果、運転手にとっては、より優れた労働環境の会社を選べるようになる。

また、経営者にとっては、運転手を確保するために社内改革を加速させ、雇用についての問題に真剣に取り組むようになっている。

しかしこの状況も、最先端技術を研究する者からすれば、むしろ歓迎する状況になる。なぜなら運転手不足で輸送ができないと、大きく声を上げることは、研究者のイノベーションを加速させる要因になってしまうからである。

そこで今回は、自動運転でドライバーが失業するタイミングを知るために

上記の流れで考察していきたいと思います。

 

海外のトラックドライバーの不足状況

現在、日本ではトラックドライバー不足のピークにある状態です。まさしくドライバーにとっては運送会社を選び放題の状況でしょう。では海外についてはどうでしょうか?いろんな文献で調べてみました。
(※数値は正確ではないです、あくまでも私の予想です。)

1. アメリカ 
10年間で約65万人の雇用が必要です。そのためには毎年65,000人を雇用する必要がありますが、新規ドライバーは約45,000人しかいないため10年間で200,000人のドライバー不足が発生することになります。

2. アフリカ
10年間で約15万人の雇用が必要です。そのためには毎年15,000人を雇用する必要がありますが、新規ドライバーは約10,000人しかいないため10年間で50,000人のドライバー不足が発生することになります。

3. ドイツ
10年間で約30万人の雇用が必要です。そのためには毎年30,000人を雇用する必要がありますが、新規ドライバーは約16,000人しかいないため10年間で約140,000人のドライバー不足が発生することになります。

4. 中国
未知数、極端な経済発展により貨物需要は相当高い、香港などの地域ではコンテナが山積みに積まれており、この未知数の貨物需要はどう見積もって数百万人以上はドライバー不足を抱えていると考えらえる。おそらく毎年30万人以上くらいは雇用する必要があるだろう。10年で300万人以上のドライバーが不足するだろうと考えらえるが・・・。普通の国ではないので神の一声でどうとでもなる。

このように、イメージではあるが発展途上国でもドライバー不足は発生する可能性がある。また、カナダのトラックドライバーは年間1,000万円以上稼ぐドライバーも存在しているが、ドライバーになるためには約100万円の免許代がかかるなど、その他の問題も発生している。

さらにブラジルなどでは、コロンビアなどの周辺の地域から労働力を借りて維持させようとする動きもある。

そしてドライバー不足の大半が、若手のドライバー雇用が促進されない状況で、高齢ドライバーが引退することである。

結論として、世界各国でトラックドライバー不足は発生しており、今後貨物の取引量がさらに多くなれば、上の数字も大きく膨らむことになる。

※世界人口推移が減少に転じたり、世界大恐慌が起これば話は違うが・・・。

 

若手のドライバー雇用は進まない。番外編

上の例で、若手のドライバー雇用が進んでいないことを運転手不足の原因として書いた。そして、筆者の見解として、今後若手のドライバー不足を解消させられる可能性は、限りなくゼロに近いと考えている。

その理由としては、2020年現在の教育内容が、昔と違うからである。
今、中学校の教育現場では、プログラミング教育を実施している。一昔前ならこういった授業は、考えられなかった。

しがしながら、文部科学省はこうした教育を取り組む課題として考えている。今後AIやロボット産業時代に対応するためであろう。

そういった動きもあり、現在はトラックを運転する教育ではなく、トラックをコントロールする教育をしていることになる。

つまり、今後はトラックを自ら動かすのではなく、トラックが適切な運行経路で問題なく走行しているか、そういったことを管理する時代であることを学校が教えている。

そうなると、今の若い世代は、身近でこういった教育を受けているため、すぐに自動運転時代がやってくることを想像しやすい。しかし高齢世代は、まだまだ何十年も先の話だと思っています。

今後、経営者はこの温度差を敏感に感じ取り、若い世代のドライバー確保という考えが、もはや古いことに気付かないといけないかもしれません。

なぜなら、20歳以下の年齢になると、もはや未来にトラックドライバーなど存在しないのです。

トラックの自動運転開発状況について(2020年)

自動運転の開発レベルについて(基本)
自動車運転といっても、完全な自動運転(一切の操作が必要ない状態)までは、各段階のレベルによって分けられています。まずは、自動運転の開発レベルを見ていきます。

自動運転開発レベルについて

自動運転レベル0(システムは運転に関与しない)
まだ、全ての操作をドライバーが判断する状態です。
死角検知機能などの警告は、このレベルに含まれます。

自動運転レベル1(運転支援)
自動で加減速を調整ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)、レーンの調整(ステアリング・アシスト)が相互連携していない技術を指します。

自動運転レベル2(運転支援)
自動で加減速を調整ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)、レーンの調整(ステアリング・アシスト)が相互連携している技術を指します。
つまり、縦方向と横方向が制御可能です。高速道路などでは、自動運転と変わらない感覚を知ることが可能です。(※不思議な感覚を体験できるライン)

自動運転レベル3(自動運転)
特定の場所ですべての操作が自動化されます。(ドライバーは必要)高速道路など特定の場所において、運転に関わる全ての操作を自動で行うことが可能です。但し、緊急時にはドライバーが車に代わって操作を行います。

自動運転レベル4(自動運転)
特定の場所ですべての操作が自動化されます。高速道路など特定の場所において、運転に関わる全ての操作を自動で行うことが可能です。また、緊急時にドライバーが操作をする必要はありません。

自動運転レベル5(自動運転)
全ての場所で操作が自動化されます。ハンドルやアクセル操作も必要ないため、ハンドルやアクセルが存在しない車内空間になります。

(トラックの自動運転開発状況について2020年、海外取材 記事まとめ中)

このように自動運転といっても、段階的なレベルがあります。
大半の人が、自動運転はまだ先のことと思っていますが、完全な自動運転が開発される必要もなく、各レベルで市場に投入されていきます。現に自家用車に関しては自動運転レベル2については既に投入されています。

そうした動きの中、普及が進んでいけば、おのずと技術レベルは比例して向上していきます。それでは、2025年自動運転化で想定する未来を(ITS構想)により考えていきましょう。

参照

官民ITS構想・ロードマップ2019
ITSとは、高度道路交通システム(Intelligent Transport Systems)の略で、最先端の情報通信技術等を用いて人と道路と車両とを一体にするシステムを指します。上記ITS構想の中で、2025年目途の市場化・普及を見据えて取り組むものとされているものがあります。

Ⅰ.自家用車における自動運転システムの更なる高度化
Ⅱ. 高齢者等向けの無人自動運転移動サービス実現
Ⅲ. 運転者不足に対応する革新的効率的な物流サービスの実現

項目 目指す社会(例) 実現すべき自動運転システム
自家用車における自動運転システムの高度化 産業競争力の強化
交通事故の削減
交通渋滞の緩和
高速道路での完全自動運転(レベル4)
高度安全運転支援システム(仮称)
地方、高齢者等向けの無人自動運転移動サービスの実現 全国の各地域で高齢者等が自由に移動できる社会 限定地域での無人自動運転移動サービスの全国普及
運転者不足に対応する革新的効率的な物流サービスの実現 人口減少時代に対応した物流の革新的効率化 高速道路での隊列走行トラック(レベル2以上)
高速道路での完全自動運転トラック(レベル4)

このように、ITS構想で想定する未来として2025年までに目指す方向性が示されています。ある意味、今の段階でこういう指針が示せるということは、それ以前に達成する可能性も十分考えられます。現に最近、自動運転化に対しての法改正がありました。

自動運転に向けた法改正?(まとめ中)

つまり、現在未来を占う指針として、5年先の未来は容易に想像することが可能です。それでは、2025年実際に運用された状況を簡単に上から順番に見ていきましょう。

自家用自動車の自動運転とそのサービス

Ⅰ.自家用車における自動運転システムの更なる高度化

まず、本題とは違いますが自家用自動車を考えていきます。自家用自動車に対しては、高速道路での完全自動運転(レベル4)を想定されています。交通渋滞の緩和や、交通事故の削減に期待できます。但し、個人的には、2025年の自家用自動車の自動運転は、まだまだ普及段階にいると仮定しておきます。理由としては下記にあげます。

ユーザー側
自家用自動車において、レベル4の自動運転といっても、特定区間内での利用しかできないという、限定的な運用になってしまう。そのため、既存の車を買い替えてまで使用するには分が悪い状況。そのため、一部の富裕層向けに波及はするが、限定的な普及になるのではないかという印象。

メーカー側
100年に1度の輸送革命である自動運転技術は、既存から新規メーカーまで戦国時代となる。自動運転レベル4を小出ししながらユーザーの支持を拾い、全力で完全自動運転(レベル5)を目指す印象。その際、新しい輸送サービスを展開するため、企業間の連携(協同研究)やM&Aがさらに加速していく。

このように自家用自動車は、ITS構想上でも2025年段階では、まだ普及段階であると言える。一般のユーザー層は、購買を急ぐ必要もなく、新技術の発展や新サービスの動向を注視すればいい。さらに、自動運転をする車であれば、自分で車を持つ必要性を感じなくなる層もでてくるため、カーシェアリングの議論が活発化する時期でもある。

個人的には、この状況から3年で方向性が確立する。概ね2028年で自家用車(人)の輸送システムが完全に変わると予想します。

Ⅱ. 高齢者等向けの無人自動運転移動サービス実現

限定地域での無人自動運転移動サービスの普及とあるが、これについては現在でも普及が進んでいる。日本では馴染みがないが、海外の大学やアトラクション施設、巨大空港等ではすでに導入されている。これについては特に自動車という観点で考える必要もなく、ゴルフのキャリーカーのようなものを想像してもよいだろう。
但し、高齢者向けといっても大半は、限定地域での運用になるので、地方で見かけることはなく、都市部での運用がメインとなってくる。

このように、自家用自動車の自動運転化と、それにまつわる新サービスが2025年までに進んでいきます。おそらく、2025年は高速道路等で自動運転レベル4の車を頻繁に見かけるようになるでしょう。しかしながら、一部の富裕層向けとして波及していくため、おそらく大半のユーザーが自家用自動車を保持していることでしょう。そして、今後新しい輸送サービスを手掛けるプレイヤーが必ず現れると考えられるため、都市部のタクシー業界に関しては、コアユーザー層をターゲットにできなければ、2025年で壊滅的にダメージを受け、そのまま終焉に向かうことが考えられる。また、自家用自動車の占有率が減少していくと、その周辺(修理、車用品)などを展開していくサービスも苦しくなっていくと考えらえる。

トラックの自動運転とそのサービスについて

次に本題のトラックの自動運転化を見ていきます。まず、ITS構想上で2025年までに実現していることを前提に考えていきます。

(トラックの自動運転開発状況について2020年、海外取材 記事まとめ中)

トラックは自動運転レベル2の隊列走行、高速道路上で自動運転レベル4を目標に置いている。従って、トラックメーカーもこぞって開発を進めている状況だ。
しかしながらトラックの場合、自動運転化の開発とサービスの拡大は簡単にはいかない現状がある。
まずトラックの場合、車体が大きく車両も重い。そのため一般の車両よりも、広範囲な予測を技術水準の上で余儀なくされてしまいます。ラインの幅もその分狭くなり、悪天候の場合(雪など)は、制動距離がさらに伸びるでしょう。
こういった観点から、普通車の技術から2~3年遅れで追従していく形になるのではないかと感じている。

それでは実際にどういう影響が生じていくかを考えてみたいと思います。

まだ、トラックの自動運転で失業することは起こりえない。

最初に、2025年の時点でトラックドライバーが失業することはありません。ここは断言しておきます。理由については明白で、2025年時点では自動運転レベル4を達成したとしても、あくまでも高速道路上であり、一般道での適用は難しいと考えらえるからです。さらに仮に完全な自動運転のトラックが登場しても、市場にすぐには普及できるとは、思えません。物流業界特有の問題があるからです。少し考察していきましょう。

❶旅客と違い貨物(荷物)は自分で降りることができない。

旅客は到着と同時に人間が降りればいいだけですが、貨物はそうはいきません。誰かが干渉しないと荷物は動くことができません。そのため、受け入れ先倉庫などもインフラ整備が必要です。その準備には相当時間がかかるでしょう。それまではドライバーがいないと荷物は動かせません。

❷貨物(荷物)を降ろすまでに待機する時間が発生する。

現状、荷待ちをする時の専用待機場所など存在しません。トラック輸送の大半が、違法駐車を余儀なくされています。いくら自動運転だとしても、違法駐車のプログラムを組み込めるでしょか?そのため、自動運転専用の大規模な物流拠点が必要になります。

❸トラック輸送といっても貨物を一括りに扱うことができない。

貨物の種類や形状、商品の耐久性など、様々な物が存在します。また、トラックの場合重さの重心も貨物によって変わってくるでしょう。そういった特性から、人間を運ぶ以上に計算が必要なこともあり、限定的(高速道路)な運用になるでしょう。

しかし、長距離ドライバーがなくなることはあり得ます。

上にあげた理由から、物流業界全体としてのインフラが必要なため、トラックの自動運転化技術が到達したとしても、すぐには普及しません。しかしながら、そこの問題をいち早く解決した、運送会社や物流会社が出現すれば、流れが一気に変わります。

未来の大手物流会社の例

❶ 自動運転化と特別積み合わせ貨物運送を合体させます。
❷ 日本を5区間に区分けします。(東北の雪をクリアするなら6区間)
❹ 巨大なセンターを5ヵ所建設します。(20,000坪以上)
❺ トラック1,000台(すべて自動運転レベル4の車両)
❻ 投資金額:数百億円(物流効率化法で安く抑える)

事業内容
トラックを高速道路の上では全て自動運転による無人で走行。
(遠隔管走行理システムで、運行状況は人間によって管理 ※運行管理官)

近くのPAか、上記の物流拠点まで拠点間無人自動運転。
上記の物流拠点から人間による配送に切り替え。

トラック1000台分の人件費(高速道路上の時間)が削減。年間24億円の人件費削減効果を見込む。また、物流拠点は産業用ロボットが仕分け管理を行う。年間2億円の人件費削減。受け入れ拠点は24時間稼働。

トラックに関しては、自社による車両管理は一切行わず、修理及びメンテンナンスはディーラーに全てアウトソーシング。

荷主様へのサービスを強化します。現状の運賃単価から1割削減、東京~九州まで、24時間以内の配送を行う。

一つの例として、近い将来こういった配送サービスができる可能性があります。その際には長距離輸送は、自動運転トラックがその役割を奪うことも考えられます。しかしながら、全体のトラック輸送の仕組みが変わり、全てのトラックが自動運転化される未来については、今から15年後の2035年頃ではないかと予想します。

全てのドライバーが失業をするタイミング

全業種、全てのトラックドライバーが失業するタイミングは今から15年後と考えます。
まず、長距離輸送は10年以内に仕組みが変化していきます。

その際、雇用を奪うのではなく、働き方が変化するだけです。しかしながら、一般道路でのトラック輸送が可能になると、劇的に変化します。人が機械を使って物流をするのではなく、機械が物流を行うことを人が管理する時代に突入します。

その際には、トラックドライバーの80%がその役目を終えるでしょう。20%の特殊な貨物や一部の地域での運用が行われている状況です。

従って、現在トラックドライバーの平均年齢が48歳くらいだとすると、自動運転技術に合わせた技術革新と、年齢により自然減少していくドライバーの人口は、程よいバランスを保っていることがわかります。

このことから、メディアやトラック協会などが騒いでいる物流危機と、政府主導の取り組みとは、温度差が生まれる可能性があります。

なぜなら、将来大量の失業者が生まれるところに、積極的な政策は打ちづらいからです。従って物流業界から、労働力不足を国に訴えてもおそらく効力はありません。

それよりも、改善基準告示の規制を少し緩めてもらう(儲けさせる)方が、運送会社、ドライバーにとってもリスクを最小にできます。

自動運転による失業をドライバーは避けることが可能か?

最後に自動運転による失業を避けることが可能かについてです。単刀直入に言うと、避けることはできません。

まず、自動運転は第四次産業革命のカテゴリーに入っております。つまり、日本においてもこの開発が遅れると、この分野において国際的な競争力を失います。

おそらく政府としても、今後も全力で推進していくでしょう。これは、イギリスの産業革命の時とあまり変わりません。
流れとしては、トラックドライバーとしての職はなくなりますが、自動運転トラックを管理する職が新たに生まれます。一つ職がなくなれば、他の違う職が出てくるでしょう。

今ドライバーであれば、段階的に切り替わり始めるため準備期間はあります。
巷では自動運転を批判する、メディアも現れるかもしれません。

時には自動運転トラックを破壊する労働者もいるかもしれません。ただ流れは変わりません。雇用は確実に奪われていきます。

自動運転によるドライバーの失業 まとめ

現在(2020年)、ドライバー不足が懸念されている。特にドライバーの高齢化と若手雇用の問題が大きい。特に若手雇用においては、現在の教育を考えた時に絶望的であろう。もはやこのままでは、将来物流は衰退してしまう。

海外のトラックドライバー不足状況
若手のドライバー雇用は進まない。番外編

しかしながら、そういった状況下の中で、新しい輸送サービスとして、自動運転の開発が進んでいる。皮肉だが研究者にイノベーションを与えるきっかけとなった。

自動運転開発状況について(2020年)
自家用自動車の自動運転とそのサービス
トラックの自動運転とそのサービスについて

そして、このまま自動運転化の流れが進んでいけば、将来的にはドライバーの雇用を徐々に奪っていくことになる。おおよそ15年後には、80%程の雇用が自動運転に切り替わると予測する。ただし、それは新しい雇用を生む機会でもある。

全てのドライバーが失業をするタイミング
自動運転による失業をドライバーは避けることが可能か?

 

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